【全アルバム解説】アーク・エネミーの歴史と名曲・名盤一挙紹介
アーク・エネミー、という和名を使っている事を予め言い訳しておきますと、本当は「アーチ・エネミー」で正解です、メンバー本人達もそう呼んでいますし。
でも、デビューから8thアルバム迄ずっと邦盤だけ「アーク・エネミー」と記述されていたんです(これを通称「ビリー・シーハン現象」っていうんですが、まあその事はいずれ書くとして)。
とにかく僕はデビュー・アルバムを聴いた時から「アーク・エネミー」と認識して何年も経ってたので、今更変えられないって話です(HR/HMリスナー諸氏は似たような思い出あるでしょう、クイーンズ・ライチとかディム・ボガーとかジョン・ミュングとかとかとか)。
さて控え目に言って「爆裂大好き」なこのバンドについて、基本的な事を踏まえたうえで現時点最高傑作の一曲を紹介したいと思います。
アーク・エネミーってどんなバンド?
略歴
- 元カーカス、スピリチュアル・ベガーズ、のギタリストであるマイケル・アモットを中心に、1995年に形成されたスウェーデンのメロディック・デス・メタルバンド。
- マイケルのルーツは伝統的なヘヴィ・メタルのフォーマットを下敷きとしておりスウェディッシュな抒情性を多分に発散しつつも所謂「北欧的メロディック・デス・メタル」の風合いとは異なった楽曲が多く、デス・メタル特有のブラスト・ビートを多用したアレンジも極端に少ない。
- 3rdアルバム発表後に結成メンバーであったヴォーカリストを解雇し4thアルバム制作を開始、後に新メンバーの詳細を伏せたまま公開された新曲から新ヴォーカリストは男性だと思われたが、正しくはドイツの女性ヴォーカリストであるアンジェラ・ゴソウである詳細が発表され、ファンのみならず多くのメタル・リスナーを驚かせた。
- 4thから8thまで活動したアンジェラは2011年の8thリリース後2014年に脱退を発表、合わせて元ジ・アゴニストの女性ヴォーカリストだったアリッサ・ホワイト=グラズの加入が発表された。アンジェラはプレイヤーとしては引退したが、その後もマネジメントの分野でバンドを支え続けている。
幾度も起こったメンバー・チェンジの話
ざっとヴォーカリストの交代について書きましたが、彼等はヴォーカル以外にもメンバー・チェンジしまくりの歴史を持っており、マイケル以外で結成時からずっと継続しているメンバーは一人もいません。
それぞれの移り変わりを、ヴォーカリストの交代を軸にまとめてみます。
黎明期-ヨハン・リーヴァ時代-
マイケルはカーカス脱退後既に1993年時点でストーナー・メタル・バンド「スピリチュアル・ベガーズ」を立ち上げ済で、当初アーク・エネミーは単なるデス・メタルプロジェクトとして活動する予定でした。
デビュー盤リリース後の1997年に、リー・ドリアン率いるカテドラルのオープニング・アクトとして初来日、その際に日本のオーディエンスがあまりに熱狂している様を見て、マイケルがこのプロジェクトを継続する決意をしたのは有名な話です。
当初マイケルは完全にプロジェクトとして見ていたために、メンバー集めは然程重要視していなかったようです(2年後の来日迄デビュー盤1枚で終わらせるつもりだったわけですから)。
BLACK EARTH / ARCH ENEMY (1996)
- “Bury Me an Angel“★ Lyrics:M.Amott Music:M.Amott Length:3:40
- “Dark Insanity“★ Lyrics:J.Liiva Music:M.Amott,J.Liiva Length:3:16
- “Eureka“ Lyrics:M.Amott Music:M.Amott,C.Amott Length:4:44
- “Idolatress“ Lyrics:J.Liiva Music:M.Amott,J.Liiva Length:4:56
- “Cosmic Retribution“ Lyrics:M.Amott Music:M.Amott Length:4:00
- “Demoniality" (Instrumental) Music:M.Amott Length:1:19
- “Transmigration Macabre“ Lyrics:M.Amott Music:M.Amott Length:4:09
- “Time Capsule" (Instrumental) Music:C.Amott Length:1:09
- “Fields of Desolation“★ Lyrics:J.Liiva Music:M.Amott,C.Amott Length:5:31
- Personnel
- Johan Liiva – Vocals
- Michael Amott – Rhythm guitars, Lead guitars, bass co-production, mixing, design
- Christopher Amott – Lead Guitars
- Daniel Erlandsson – Drums
Bury Me Angel / ARCH ENEMY
元カーネイジのヴォーカリスト兼ベーシストであったヨハン・リーヴァ、当時はまだセッション・ドラマーだった元ユーカリスト、イン・フレイムスでのプレイ経験を持つダニエル・アーランドソン、更にマイケルの実弟クリストファー・アモットによって、1996年発表の1stアルバム「ブラック・アース」は制作されました。
1996年発表の1stアルバム「ブラック・アース」ではほぼ全曲をマイケルが担当しベースもプレイしています。
STIGMATA / ARCH ENEMY (1998)
All songs written by Michael Amott, except where noted.
- “Beast of Man“★ Music:M.Amott,C.Amott Length:3:36
- “Stigmata" (Instrumental) Length:2:12
- “Sinister Mephisto“★ Length:5:46
- “Dark of the Sun“ Music:M.Amott,C.Amott Length:7:00
- “Let the Killing Begin“ Lyrics:J.Liiva,M.Amott Music:M.Amott,C.Amott Length:5:19
- “Black Earth“★ Lyrics:J.Liiva,M.Amott Length:6:39
- “Tears of the Dead“ Length:5:56
- “Vox Stellarum" (Instrumental) Music:Fredrik Nordström Length:2:08
- “Bridge of Destiny“ Music:M.Amott,C.Amott Length:7:44
- Personnel
- Johan Liiva − vocals
- Michael Amott − guitars, co-producer
- Christopher Amott − guitars
- Martin Bengtsson − bass
- Daniel Erlandsson − drums (“Beast of Man" and “Diva Satanica")
- Additional Musicians
- Peter Wildoer − drums (all tracks except “Beast of Man" and “Diva Satanica")
- Fredrik Nordström − keyboards, grand piano
「★」は筆者オススメ・トラック
Beast Of A Man / ARCH ENEMY
ヨハンを擁した編成は3rdアルバム迄継続します。
ただし2nd「スティグマータ」の時点でベーシスト、ドラマーは変わっています。
クリストファー・アモットのソロ・プロジェクト「アルマゲドン」が1997年に発表したアルバム「クロッシング・ザ・ルビコン」でプレイしたセッション・ドラマーの、ピーター・ウィルドアー、ベーシストのマーティン・ベンクソンが参加し、楽曲の大半は彼等のプレイが収録されました。
しかし結局、彼等がアーク・エネミーに参加したのはこのアルバム1枚だけです。
このアルバムは出来栄えが決して悪かったワケではありませんでしたが商業的には成功しておらず、マイケルの人間関係における苦い思い出も相まって、あまり思い入れはないと語っています。
BURNING BRIDGES / ARCH ENEMY (1999)
All lyrics are written by Michael Amott, except where noted; all music is composed by Michael Amott and Christopher Amott, except where noted..
- “The Immortal“★ Lyrics:J.Liiva,M.Amott Length:3:43
- “Dead Inside“ Length:4:13
- “Pilgrim“★ Length:4:33
- “Silverwing“★ Length:4:08
- “Demonic Science“ Length:5:23
- “Seed of Hate“ Music:C.Amott Length:4:09
- “Angelclaw“ Length:4:06
- “Burning Bridges“★ Music:M.Amott Length:5:31
- Personnel
- Johan Liiva − vocals
- Michael Amott − guitars, production
- Christopher Amott − guitars
- Sharlee D’Angelo − bass
- Daniel Erlandsson − drums
「★」は筆者オススメ・トラック
The Immortal / ARCH ENEMY
3rdレコーデイング時点では1stメンバーのドラマー、ダニエル・アーランドソンに加えて、デンマークのメタル・バンド「マーシフル・フェイト」でのプレイ経験を持ちその後固定メンバーとなるベーシスト、シャリー・ダンジェロも揃います。
この3枚目のアルバムは、初期アーク・エネミーの集大成とも言える内容で、デス・メタル然とした激しいリフの突撃性と、ギター・ソロにおける美旋律のバランスが絶妙です。
デス・メタルの表現手法を用いていながらその実、アルバム全体を取り巻くイメージに伝統的なヘヴィ・メタル的アプローチが感じられる点は、後のマイケル・アモットの作曲の主軸となっていきます。
ただ、楽曲面では充実し楽器隊も申し分ないメンバーが遂に終結しはしたものの、ヨハンのヴォーカルについては、評価の別れるところです。
1stや2ndで聴かれた厳かな帝王感は薄れややコミカルに感じられる喚き散らし型に変更、更にはアルバムの音源でさえややリズムを見失ったかのような言葉の載せ方に変わっていました。
本アルバムのツアー中のパフォーマンスに不満を感じていた創始者マイケル・アモットは遂にヨハンを解雇。
更にツアーを目前にベースのシャーリーも脱退してしまいますが、サポート・メンバーでツアーを継続している最中にシレっと復帰します。
2022年1月21日HR/HMエッセイ,全アルバム解説Arch Enemy,ヘヴィ・メタル,メロディック・デス・メタル
Posted by tsuyoshi
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