ジャケット展覧会 第01回-幻想絵画篇-

幻想絵画編と銘打ってみたんですけど、僕が感じる美しさが、誰にとっても同様に美しいと感じるものだとは限らないので、そのあたりはご了承ください。

幻想的なジャケットは数多く発表されているから選ぶのが大変でした。

ではどうぞ。

2008
A SENSE OF PURPOSE / IN FLAMES
ア・センス・オブ・パーパス / イン・フレイムズ

めちゃくちゃカッコいいでしょ、このジャケット。

元メロディック・デス・メタル、現エモの彼等ですが、2008年発表の9thから。

アルバム完成度的について僕の感想は「まあまあ」って感じでしたけど、ジャケットだけは大好きなんですよね。

想像力を刺激されるっていうか。凝った絵では全然ないけど、印象的でイメージが残ります。

彼らのアルバムは概ねジャケット・アートのセンスがいいなって思います。

1990
CAUSE OF DEATH / OBITUARY
カース・オブ・デス / オビチュアリー

オビチュアリーは活動歴が永いバンドですね。

僕が彼らの音楽を聴くきっかけになったのが1990年発表の2nd、このアルバム・ジャケットでした。

よく観ると骸骨や亡者の顔のようなものが描かれていてオドロオドロシイんですけど第一印象で僕は、凄く美しいと感じたんです。

冷たく美しい青が目を引きませんか。

赤も効果的に使われています。

今でも不思議だなと感じるのは、背景の大きな「目」はなんなんだろうなってコトです。

爬虫類や両生類のようなんだけど、判然としないんですよね。

アルバム内容は今でいうならオールド・スクールなデス・メタルというコトになるかな。

今聴くとかなりオーソドックスだから、聴きやすいかもしれません。

1993
CHAOS A.D. / SEPULTURA
ケイオス・A.D. / セパルトゥラ

このジャケットも大好きですー。

1993年発表の5th、メカニカルなモチーフがさり気なく使われていてクールだと思います。

この青と黄の補色コントラストも、彩度が低めで渋い印象でしよ。

よく見ると細かなディテールが丁寧に描きこまれていて、なにか物語性を感じさせる作風も観ていてワクワクします。

この逆さに吊るされた人は何者なんだろうか、下から湧いて出ている腕は何を望んでいるのか、妄想は広がります。

原画が観たくなる絵です。

2002
NATURAL BORN CHAOS / SOILWORK
ナチュラル・ボーン・ケイオス / ソイルワーク

ソイルワークが発表したアルバム群の中では、一番静かな印象のジャケットがこれ、2002年発表の4thです。

デヴィン・タウンゼントがプロデュースした唯一のアルバムで、この作品をきっかけにして彼らの楽曲は大きくクオリティが向上したと思います。

具体的にいえばメロディとスラッシーな要素の成分比が絶妙な塩梅になった、ってコトだと思います。

このジャケットは、画面奥で叫んでいる人がいて、でも本人と画面はほぼ白、その叫んでいる何かは黒い蝶、というなんともメルヘンチックな構成といえますね。

静と動が共存している感じ。

1992
COUNTDOWN TO EXTINCTION / MEGADETH
カウントダウン・トゥ・エクスティンクション / メガデス

1992年発表、メガデスの大ヒット5thアルバムのジャケットがこれ。

前作までは、骸骨に目隠し耳隠し口枷がついた通称メガデス君がかならずジャケットに登場していました。

メタルらしいアイコンで、メガデスといえばあの骸骨、というイメージ戦略が成功していましたよね。

しかしこの5thで初めてジャケットからメガデス君が消えたんです。

ただし裏ジャケにはいるんだけどさ。

これは彼らが、よりワールド・ワイドな活動を視野に入れて、作品も「狙っていく」と宣言している、のだと感じました。

サウンド自体はある意味まとまったというか、尖った部分が落ち着いたというか、初期ファンはこの作品で離れたりもしたんじゃないかなと思います。

でもそれと同時に新たな音楽世界の広がりを獲得できたと思うので、このジャケットはターニング・ポイントだったと思う。

1996
BLACK EARTH / ARCH ENEMY
ブラック・アース / アーク・エネミー

僕が好き好きと書き続けているアーク・エネミーから1996年発表の1stアルバム・ジャケット。

このアルバムを発表した当初は、パーマネントなバンドとして続ける意図はなく、いわゆるプロジェクト的な存在の予定だった、というのはファンの間では有名な話ですね。

プロジェクトで終わらせる可能性があったとはいえ、こんなに美しいイメージを使うそのセンスにわたしはしびれました。

モノクロにくすんだ朱色だけ、というシンプルな構成。

でも幻想的な空想が僕の中で大きく広がります。

現在このアルバムはジャケットが変更されていて、まったく同じ画面構成のまま2つの顔が骸骨に差し替わってて、僕はとても残念に思っています。

このままのほうが絶対いいのにな。

1996
SWANSONG / CARCASS
スワンソング / カーカス

カーカスが一旦活動休止する直前の1996年発表5thです。

それまでのアルバムジャケットは、グロかったり、H.R.ギーガーの作品を使ったりと、特に決まったルールがある風でもなかったのですが、この作品は特に異質です。

アルバム内容自体は、最もデス・メタルから距離をとった作風で、駄作認定する方も珍しくないのですが、ジャケットは最高に恐ろしいと思いませんか。

恐ろしいというか基地外じみているというか、うっす漂うクレイジーさが背筋に寒気を運んでくるというか、とにかくまともな精神状態で描かれたとは思えないインパクトがあると思うんです。

あ、ちなみに楽曲内容は全然カッコいいと思っています。

2017
THE VENOMOUS / NIGHTRAGE
ザ・ヴェノマス / ナイトレイジ

ナイトレイジは彩度が低い硬質なイメージをジャケットに採用してきましたが、この2017年発表7thアルバムでは銅版画のような細かい描線で構成されたイラストに仕上がっています。

観るからにブラック・メタル的な印象ではありつつも、内容はよりメロディアスだったりします。

このジャケットとのイメージのリンクはさほど強くない気もしますけども、絵は美しいと思います。

2008
CONQUER / SOULFLY
コンクァー / ソウルフライ

東洋的なイメージを使った、2008年発表のソウルフライ6thアルバム・ジャケット。

密教的要素を怪しく使っていてカッコいいと思います。

三鈷杵や法具を八臂の猿が持っています。

ブラジルのバンドがこんな風に、東洋的宗教観をジャケットに取り入れているのは面白いなって思いました。

まあカヴァレラ兄弟は、民族的な観念とか伝統を重んじているように感じられるから、割と自然な流れなのかもしれないですね。

2003
TRAIN OF THOUGHT / DREAM THEATER
トレイン・オブ・ソート / ドリーム・シアター

このジャケットを始めてみた時は、まさかあのドリーム・シアターだとは思いませんでした。

2003年発表の8thですが、明らかに「THE 不穏」過ぎるでしょ、これ。

彼等のアルバムジャケットは多くの場合、クールで物語性のある絵画風、或いはCGによるソリッドで知的なイメージ、とかなんですよ。

この作品が持つ、ブラック・メタル的な人間の根源的恐怖に訴えかけるようなイメージは後にも先にもこのジャケットだけなんです。

内容も、かなりヘヴィなサウンドに傾倒した事もあって、アルバム全体のイメージとしては、音を聞けば納得だったんですけどね。

いやーこれは驚いた。

1999
THE GATHERING / TESTAMENT
ザ・ギャザリング / テスタメント

またもや大好きなテスタメントの1999年発表8thアルバム・ジャケットを紹介。

この違和感、このセンス、どれもほんのりヘンなのが気に入っています。

残念ながらこのアルバムも最近のヴァージョンでは似た別の絵に差し変わってしまっていて、どうして変えてしまったのかと不思議に思っています。

新しい方はなんだか絵が整理されてしまっていて普通感増量してますって感じ。

この違和感が良かったのにな。

今後もテスタメントのアートは紹介してしまいそうな気がしている、いや必ずすると思います。

1992
LOUDNESS / LOUDNESS
ラウドネス / ラウドネス

ラウドネスのジャケットの中では、文句なしに一番素敵だと思っています。

たった1枚で崩壊した第3期の、1992年発表10thアルバムです。

というか正直書いてしまうと、ラウドネスのジャケットは基本的にイマイチなものが多い、もちろん楽曲とは別の話ね。

時代性ももちろんあるとは思うけど、パっとしないのが多いんですよね。

アルバム・ジャケットの立ち位置が今とは違ったんだろうなとは想像するんですけどね。

だからこのアルバム・ジャケットを観た時は本当に驚いたんです。

いわゆる第三期ですね。

期間でいえば最も短命だったこの編成は、しかし音楽的には素晴らしいクオリティを表現していたと思います。

僕の好みでいうと、彼らのキャリアの中で一番好きです。

とにかく絵も音も最高なんだよね。

2012
DEATH IS THE ONLY MORTAL / THE ACACIA STRAIN
デス・イズ・ザ・オンリー・モータル / ジ・アケイシャ・ストレイン

最後はデス・コア系から彼らの2012年発表6thアルバム。

ジ・アカシア・ストレインのアルバム・ジャケットはいつも素敵です。

同じアーティスト続けて依頼しているんだと思います。

写真を使ったジャケットもあるけれど、それも意識してアート・ワークをコントロールしているコトが判ります。

退廃的な美というものに僕は弱いんだな。

最後に

どうにも内容が偏ってしまいますね、まあ僕らしい、ってコトでご容赦くださいませ。

次はなんというか、笑えるキュレーションを目指してみようかなって思っています。■■


人は真面目になり過ぎると、他人から可笑しく見えてしまうコトがあるんですよね。