【ウェイク・アップ・デッド / メガデス】最高にカッコいい恨み節

Wake Up Dead from Peace Sells …But Who’s Buying? / MEGADETH (1986)

メガデス。このバンド名を目にするだけでいつも気持ちが騒めきます。

一瞬薄暗い感情が目の前を通り過ぎるような感覚を感じて。


まだ目が死んでいない

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インテレクチュアル・スラッシュ・メタル(知的なスラッシュ・メタル)を標榜してシーンに飛び出してきた彼らもすっかり大御所の風格を纏い、またそれに伴う歴史もメタル・ミュージック・シーンに刻み込んできました。

バンドの創始者であるデイヴ・ムステイン(大佐)は、既にいい歳のおじさんです。がしかし、この人だけは未だに目が死んでいない、と思うんです。

歳とともにキーを下げ、ライヴでは過去の名曲がダウン・チューニングによって原曲の風合いを失ってしまったコトに嘆くファンもいるかもしれません。

うんうんその気持ちは痛い程判る、やっぱハンガー18は原曲キーがカッコいいよね。

しかし判った上で敢えていいたい、デイヴの目を見てと。

彼の目は年月を経て、尖らせる部分と丸める部分の使い分けを経験によって学習したと思うけれどそれでもなお、狂気を秘めた瞳はまだそこにあると感じます。

メタリカへの恨みから生まれたといって過言ではないバンドがメガデスです。

商業的な意味ではメタリカ程の成功を手にしていない彼らの、だけど攻撃性を未だ失わないストイックさに強く惹かれます。

彼らのアルバムは概ねいつも「攻めて」いる。基本姿勢は1stの一曲目から変わっていないと感じるんですよ。

変わらなければ何でもいいというつもりも無いのですけど、メガデスに限っては変わらないコトが明らかにプラスに働いていると思います。

怒りのパワー

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メタル・ミュージックの根源的な動機、存在理由の一つである「怒り」の感情を作品に叩きつける作業は、恐らくメンバーが歳をとればとるほど苦しい行為となるでしょう。

多くのバンドが「円熟」という名のマントを羽織ってそうした感情や作品性を隠しがちになるのは責められないと思うんです。

それは必ずしも劣化とは限りません。

ただ稀に、デビュー当時の瑞々しさや荒々しさ、攻撃性や先鋭性を持ち続けられるバンドが存在します。

メガデスはそんな数少ないバンドの一つじゃないでしょうか。

彼らの音はいつも冷たい硬さを持っていました。

迂闊に触れると鋭い切っ先で指先が直線的に失われるような。

そうしたサウンドにデイヴの金切声が絡みつきます。

そう正に「金切声」。

比較的高い地声だと思うのですが、いわゆるハイトーンで歌い上げるタイプではないし、かといって低音域でグリグリと唸るタイプでもありません。

声そのものは結構細いし元々ヴォーカリストではないからか、歌っているのか語っているのか判らないような歌唱なんですけど、それが結果的に強烈な個性となっている、と思うんです。

また、デイヴが専任ヴォーカルでない上に元々は専任ギタリストだったコトも手伝ってか、多くの曲でインスト・パートが長めなのも、メガデスの特徴です。

今回紹介した「ウェイク・アップ・デッド」も歌うパートは極端に少なく、殆ど語りやシャウトのみで、独特のクールさが耳に刺さってきます。

もうね、リフが無茶苦茶カッコいいんですよね、文句のつけようがない程に。

硬質でザクザクと刻まれるギター・サウンドが無慈悲に繰り返されるイメージは、いかにも彼ららしいなって思います。

最後に

メガデスの曲はこれからも何度も紹介するコトになると思うので、まずは一聴あれ。■■