【全アルバム解説】元祖ハード・ロック・バカ一代!AC/DCの鉄人ヴォーカリスト:ボン・スコット時代を振り返る

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HR/HM界には鉄人と呼んで差し支えないバンドが存在しています。

それは単純に活動期間が永いというシンプルな評価ポイントに加えて、様々な苦境を乗り越えて拘りぬいたサウンドを作り続ける屈強な精神力や、音楽的な軸が全くブレずに職人的な創作を継続している事など、凡そ殆どのミュージシャンが容易く達成出来ない偉業を成し遂げてしまっている事が、鉄人たる所以だと思うワケです。

そしてAC/DCはそうした要素が詰まりまくりの奇跡的なバンドです。


日本ではあまり知名度が高くないと言える彼等の事を、徹底的に紹介したいと思いますので、どうかお付き合いくださませ。

AC/DCってどんなバンド?

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  • スコットランド生まれの兄弟マルコム・ヤングとアンガス・ヤングによって、1973年にシドニーで結成されたオーストラリアのロックバンド
  • 1stアルバム「High Voltage」1975年発表時点で、アンガス・ヤング(Gt.)マルコム・ヤング(Gt.)、ボン・スコット(Vo.)、フィル・ラッド(Drs.)、マーク・エヴァンス(B.)という編成
  • 1980年2月、スコットは大量飲酒後、急性アルコール中毒で亡くなりバンドは解散を検討したが、ブライアン・ジョンソンの加入で活動を継続、バンドはスコットの記憶に捧げられたジョンソンとの最初のアルバム「バック・イン・ブラック」をリリースし、このアルバムはAC/DCを新たな成功へと導き、史上最も売れたアルバムの1つになった
  • 2016年、ヴォーカル:ブライアンの難聴が悪化したためツアーを続ける事が出来なくなった際、ガンズ・アンド・ローゼズのフロントマンであるアクセル・ローズが、その年の残りの期間、バンドのボーカリストとして参加した事は有名
  • 米国で7500万枚以上、全世界で2億枚以上のレコードを販売しており、中でも7th「バック・イン・ブラック」は全世界で推定5,000万枚以上の売上を記録しており、バンド単位の一枚のアルバムとしては記録史上最も売れたアルバム

1973年結成ですから、2021年で48年目のバンドです。

48周年ですよ。

このモンスター・バンドはセールス的にも世界規模で大成功を収めていますし、楽曲のクオリティの高さ、名曲の多さでも群を抜いています。

では順を追って彼等の歴史と楽曲を振り返ってみましょう。

オーストラリアで爆誕!デイブ・エヴァンス時代

Dave Evans / Rob Bailey / M. Young / Peter Clack / A. Young (1974)

AC/DC初代メイン・ヴォーカリストがボン・スコットだと思われている方が多いと思うのですが実は違います。

結成当初はデビッド・エバンスがヴォーカルを務め1年間程は実際にライヴ活動を行いデビュー・シングルを発表していますが、この頃は我々が知っているAC/DC像とは違った音楽性のグループで、意外にも「グラム・ロック」のバンドでした。

このヤング兄弟最初のオリジナル曲は、オーストラリア国内だけではありますがシングルのリリースに合わせてミュージック・ビデオも制作されています。


アンガスの子供の制服という恰好は、この時代の「色々な扮装の一つ」という企画面の名残で、発案者は彼の妹マーガレット・ヤング。

事実アンガスはこの頃迄に、スパイダーマンや快傑ゾロ、ゴリラ、オリジナル・ヒーローなど、様々なコスチュームでプレイしていたのだとか(試行錯誤しまくりw)。

周りのメンバーも、サテン地のヒラヒラした舞台衣装を纏っているのが見れますね。

では、当時の貴重な映像をご覧ください。

Can I Sit Next to You, Girl – single / AC/DC (1974)

この時点で、AC/DCは評価を獲得するんですが、 やはりヤング兄弟すげーぞ、って事なんです。

音質のチープさは時代を感じずにはいられませんが、ギター・アレンジはこの頃から硬質なリフのカケラが聴いてとれると思います。

因みにレコーディング時は、ベースをマルコムの更に上の兄にあたる「ジョージ・ヤング」がベースを担当していますが、PVやアーティスト写真ではロブ・ベイリーです。

バンドの方向性に疑問を抱いたヤング兄弟たちは、早々にメンバー再編を行います(ココが最初の分岐点)。

side A

  1. Can I Sit Next To You, Girl“ Written-By Young, Young

side B

  1. Rockin’ In The Parlour" Written-By Young, Young
  • Personnel
    • Dave Evans – lead vocals
    • Angus Young – guitar
    • Malcolm Young – guitar
    • George Young – bass guitar, production
    • Colin Burgess – drums

ヴォーカリストに、バンド「ザ・ヴァレンタインズ(1970年解散)」から「フラタニティ」でプレイしていたロナルド・ベルフォード " ボン " スコットを招きます。

AC/DC加入以前のボン・スコットの歌唱を以下に紹介します。

CHECK! " The Valentines

CHECK! “Fraternity

ザ・バレンタインズ時のボン・スコットは正直言ってコーラス要員ですが、フラタニティではあのボン・ヴォーカルが聴けます。

流石に後にAC/DCのハード・ロック・ナンバーで聴かせてくれたようなダーティで攻撃的な歌唱では全然なく、なんとも穏やかな唄い回しですが、アノ味わいは既にありますよね。

ここから、あのボン・スコット節に繋がっていくんですね。

バンド成長時代の始まり!ボン・スコット時代

Mark Evans / Bon Scott / A. Young / Phil Rudd / M. Young

ボン・スコットに加えてドラマーのフィル・ラッド、ベーシストのマーク・エヴァンスといったメンバーを迎え、AC/DCが遂に発表したデビュー・スタジオ・アルバムは、1975年2月17日にオーストラリアでのみ発売されました。

シングル時代とは方向を替え、シンプルで硬質なハード・ロック、ブギー、といった音楽性での再出発です。

HIGH VOLTAGE / AC/DC (1975)

※1976年の最初のナショナル・リリースも同名タイトルですがトラック・リストは異なります

このデビュー・アルバム制作にあたってボン・スコットは、ヤング兄弟が録りためたインスト音源に対し、わずか10日で全ての楽曲の歌詞を書いたといいます。

また2曲目「シーズ・ゴット・ボール」は、ヤング兄弟とスコットが初めて共作した楽曲でした。

1曲目「ベイビー、プリーズ・ドント・ゴー」は、ビッグ・ジョー・ウィリアムズのカヴァーで、このトラックはアルバムから最初のシングル・カットとなります。

このシングルを引っ提げてTV出演した時の映像がこちら、ボン・スコットが金髪女子高生に扮するというトンデモ企画ですが必見です

あ、ビッグ・ジョー・ウィリアムズの原曲音源も貼り付けておきますね。

CHECK! ”"Baby, Please Don’t Go” / AC/DC

CHECK! ”"Baby, Please Don’t Go” / Big Joe Williams

このTVショーのパフォーマンスでも伺い知れるように、彼等は既にLIVEバンドとしての風格を纏っています。

アンガスやマルコムの若さ溢れるアクションも微笑ましいながら、ロックの激しさや乱雑さといった要素を、初期時点からバンドのカラーとして取り入れていたんですね。

またこの1st時点では、様々なミュージシャンのプレイが録音されており、参加メンバーが非常に多い内容になっていますが、次作でもその状況は続きます。

そうして、シングル「ベイビー、プリーズ・ドント・ゴー」とアルバム「ハイ・ボルテージ」の成功後、シドニーのアルバート・スタジオに戻り、同年末には2枚目のLPをレコーディングします(プロデューサーのジョージ・ヤングとハリー・ヴァンダとの2度目の仕事でもあります)。

All tracks are written by Angus Young, Malcolm Young, and Bon Scott, except where noted.

Side one

  1. Baby, Please Don’t Go" (Big Joe Williams) Length:4:50
  2. She’s Got Balls“ Length:4:52
  3. Little Lover Length:5:40
  4. Stick Around“ Length:4:39

Side two

  1. Soul Stripper Writer(s):A.Young, M.Young Length:6:25
  2. You Ain’t Got a Hold on Me“ Length:3:31
  3. Love Song“ Length:5:14
  4. Show Business“ Length:4:46
  • Personnel
    • Bon Scott – lead vocals
    • Angus Young – lead guitar
    • Malcolm Young – rhythm guitar, backing vocals, bass guitar, lead guitar on tracks 3, 5, 6 and 8
    • George Young – production, bass guitar, rhythm guitar, backing vocals
    • Rob Bailey – bass guitar
    • Peter Clack – drums on track 1
    • Tony Currenti – drums on tracks 2, 4–8
    • John Proud – drums on track 3
    • Harry Vanda – production, backing vocals

」は筆者オススメ・トラック


T.N.T. / AC/DC (1975)

2nd「T.N.T.」は、1stからの方向転換を示し、ハードエッジ、リズム、ブルーズ・ベースのロック&ロールの方向性を、完全に取り込んだ作風となっています。

この時点でもう「あのAC/DCの音」の原型が完成していたんですね。

彼らはまたアルバム制作以後に担当パートをシンプルに改良し、アンガスは必ずリード・ギターを演奏し、マルコムはリズム・ギターを演奏し、ドラマーとベーシストはレコーディングでもライヴでもしっかり固定されました(普通そうなるハズなんですが)。

アルバムの9曲のうち7曲はヤング兄弟とスコットによって書かれおり、タイトルトラック以外にも、「イッツ・ア・ロング・ウェイ・トゥ・ザ・トップ」、「ザ・ジャック」、「ロッカー」など、AC/DCの有名曲が含まれています。

キャン・アイ・シット・ネクスト・トゥ・ユー・ガール」は、ヴォーカル前任者デイブ・エヴァンスとのシングルとして録音されたバージョンとはアレンジが異なり、歌詞も一部書き直されており、1分程度長いトラックに変更されました。

「スクール・デイズ」はチャック・ベリーの曲のカヴァーで、ヤング兄弟に大きな影響を与えていた事が知られています。

All tracks are written by Angus Young, Malcolm Young and Bon Scott, except where noted.

Side one

  1. It’s a Long Way to the Top (If You Wanna Rock 'n’ Roll) Length:5:14
  2. Rock 'n’ Roll Singer“ Length:5:04
  3. The Jack“ Length:5:53
  4. Live Wire“ Length:5:50

Side two

  1. T.N.T. Length:3:35
  2. Rocker“ Length:2:55
  3. Can I Sit Next to You Girl“ Writer(s):Angus Young, Malcolm Young Length:4:12
  4. High Voltage Length:4:20
  5. School Days" Write(s):Chuck Berry Length:5:22
  • Personnel
    • tBon Scott – lead vocals, bagpipes on “It’s a Long Way to the Top"
    • Angus Young – lead guitar
    • Malcolm Young – rhythm guitar, backing vocals
    • Mark Evans – bass guitar on tracks 1–7
    • Phil Rudd – drums, percussion on tracks 1–7
    • George Young – bass guitar on tracks 8–9
    • Tony Currenti – drums on tracks 8–9

」は筆者オススメ・トラック


このアルバムからは、1曲目「イッツ・ア・ロング・ウェイ・トゥ・ザ・トップ(イフ・ユー・ワナ・ロックン・ロール)」のミュージックビデオが制作されています。

1976年2月23日に撮影されたこのビデオでは、オーストラリアはメルボルンのスワンストン・ストリートを走行するフラット・ベッド・トラックの後ろで、バンドの当時のラインナップと、ラット・オブ・トブルック・パイプ・バンドのメンバーが演奏する様が映し出されています。

因みに、2004年にはメルボルンのコーポレーション・レーンと呼ばれていた通りの名前を変更するにあたり、この撮影時のAC/DCへのオマージュとして「ACDCレーン」と改名されています(公共看板がカッコ良過ぎるでしょ)。

AC/DC Lane

さて2枚のスタジオ・アルバムを発表したAC/DCは、オーストラリアでのみ発行されたこれらのアルバムに収録された楽曲をパッケージし、国際的にリリースされた最初のスタジオ・アルバムを発表します。

IGH VOLTATE(international edition) / AC/DC (1975)

https://www.youtube.com/watch?v=nULs4JW3tPI

1976年4月30日にAtlanticRecordsで国際的にリリースされ、1976年5月14日にATCO Recordsで米国でリリースされましたが、このエディションの「ハイ・ヴォルテージ」は人気があり、米国だけで300万枚を売り上げます。

しかし当初、アルバムはリリース時に一部の批評家によって攻撃され、ローリングストーン誌のビリー・アルトマンによるレビューによれば「ハード・ロック・ジャンルの史上最低」と呼ばれる程だったそうで、彼等も紆余曲折だなあと思わされます。。

このアルバムはAC/DCリマスターシリーズの一部として2003年に再リリースされていますね。

All songs credited to Angus Young, Malcolm Young and Bon Scott except where noted.

Side one

  1. It’s a Long Way to the Top (If You Wanna Rock 'n’ Roll) Length:5:02
  2. Rock 'n’ Roll Singer Length:5:04
  3. The Jack“ Length:5:53
  4. Live Wire“ Length:5:50

Side two

  1. T.N.T. Length:3:35
  2. Can I Sit Next to You Girl“ Writer(s):A. Young, M. Young Length:4:12
  3. Little Lover“ Length:5:40
  4. She’s Got Balls“ Length:4:52
  5. High Voltage Length:4:04
  • Personnel
    • Bon Scott – lead vocals, bagpipes on “It’s a Long Way to the Top (If You Wanna Rock 'n’ Roll)"
    • Angus Young – lead guitar
    • Malcolm Young – rhythm guitar, lead guitar on “Little Lover", backing vocals
    • Mark Evans – bass guitar on tracks 1–6, 9
    • Phil Rudd – drums on tracks 1–6, 9
  • Additional personnel
    • George Young – bass guitar on tracks 7, 8
    • Tony Currenti – drums on tracks 7, 8

」は筆者オススメ・トラック


次のアルバムは、1976年にオーストラリアで発表されたバンドの3番目の、ヨーロッパで発表された2番目のLPでしたが、リードシンガーのボン・スコットの死から1年以上経った1981年まで、米国では発表されなかった作品です。

それがご存じ「ダーティ・ディーズ・ダン・ダート・チープ」です。

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DIRTY DEEDS DONE DIRT CHEEP / AC/DC (1976)

1975年12月、バンドはアルバート・スタジオに入り、引き続きハリー・ヴァンダとジョージ・ヤングのプロデュースの元、アルバム制作が開始され、翌年オーストラリア国内で発売されました。

既に過去の事実としてこのアルバムを知っている我々にとってみれば、このキャッチーでエッジの効いたタイトル・トラックをはじめ、本作の出来栄えに疑いはないのですが、発表当時はオーストラリア国内でしか評価されなかった背景があります。

この頃AC/DCは、まだアメリカツアーを経験しておらずメンバーは常にその実現を熱望していましたが、この3rdアルバムが実際にアメリカで流通したのは、1979年後半に「ハイウェイ・トゥ・ヘル」がヒットした後の事です。

アトランティック・レコードはオーストラリアでも国際版を発表し、これらの多くは米国に輸出されました。

両バージョンに対する強い需要(「バック・イン・ブラック」の大きな成功を受けて)により、アトランティック・レコードの米国部門は、1981年3月になってやっと、米国の公式リリースを承認します。

そうした色々の経緯を経たアルバム「ダーティ・ディーズ・ダン・ダート・チープ」は、オーストラリアと米国の両方で6xプラチナの認定を受けており、少なくとも600万枚を売り上げている化け物アルバムです。

因みに「ハイウェイ・トゥ・ヘル」が7xプラチナ、「バック・イン・ブラック」が22xプラチナです

凄すぎてワケわかりませんね。

■Australian version
All tracks are written by Angus Young, Malcolm Young, Bon Scott.

Side one

  1. Dirty Deeds Done Dirt Cheap Length:4:12
  2. Ain’t No Fun (Waiting 'Round to Be a Millionaire)“ Length:7:31
  3. There’s Gonna Be Some Rockin’“ Length:3:18
  4. Problem Child“ Length:5:47

Side two

  1. Squealer“ Length:5:15
  2. Big Balls“ Length:2:38
  3. R.I.P. (Rock in Peace)“ Length:3:35
  4. Ride On“ Length:5:54
  5. Jailbreak Length:4:41

■International version
All tracks are written by Angus Young, Malcolm Young, Bon Scott.

Side one

  1. Dirty Deeds Done Dirt Cheap Length:3:52
  2. Love at First Feel“ Length:3:13
  3. Big Balls“ Length:2:38
  4. Rocker“ Length:2:52
  5. Problem Child“ Length:5:47

Side two

  1. There’s Gonna Be Some Rockin’“ Length:3:18
  2. Ain’t No Fun (Waiting 'Round to Be a Millionaire)“ Length:6:58
  3. Ride On“ Length:5:54
  4. Squealer“ Length:5:15
  • Personnel
    • Bon Scott – lead vocals
    • Angus Young – lead guitar
    • Malcolm Young – rhythm guitar, backing vocals
    • Mark Evans – bass guitar
    • Phil Rudd – drums

」は筆者オススメ・トラック


ワールド・ワイドへの道

さて、4thアルバムを発表する1977年、それまで活動を共にしてきたベーシストのマーク・エヴァンスは解雇され、その後現在に至るまで固定のメンバーとなる、クリフ・ウィリアムズが加入します。

LET THERE BE ROCK / AC/DC (1977)

1977年に発表されたこのアルバム(国際版)のある注目すべき点は、今現在まで継続して使用されているバンド・ロゴが初めてジャケットに登場した事です。

このロゴは、アメリカのタイポグラファー「ジェラルド・ウエルタ」の手によるもので、時代を跨ぐ象徴たるイメージとなっています。

一方、オーストラリア盤のジャケットはモノクロの非常に地味なモノになっていますね。

楽曲は彼等らしいハード・エッジな内容で、オーストラリアでは5×プラチナを獲得!

■International version

Side one

  1. Go Down“ Length:5:31
  2. Dog Eat Dog Length:3:35
  3. Let There Be Rock Length:6:06
  4. Bad Boy Boogie“ Length:4:27

Side two

  1. Problem Child“ Length:5:25
  2. Overdose“ Length:6:09
  3. Hell Ain’t a Bad Place to Be“ Length:4:14
  4. Whole Lotta Rosie“ Length:5:24
  • Personnel
    • Bon Scott – lead vocals
    • Angus Young – lead guitar
    • Malcolm Young – rhythm guitar, backing vocals
    • Mark Evans – bass guitar
    • Phil Rudd – drums, percussion

」は筆者オススメ・トラック


続く1978年発表の5th「パワーエイジ」は、それまでバンドと共に全てのアルバム制作を行ってきた、ハリー・ヴァンダとジョージ・ヤングとの、最後の仕事となります。

本作も安定したヒット作となり、エディ・ヴァン・ヘイレンや、キース・リチャーズは、フェイバリッド・アルバムとして本作をピックアップしています。

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POWERAGE / AC/DC (1978)

AC/DCの初期アルバムの多くは、様々な市場で発売する為に頻繁にその収録内容が変更されており、この慣行は本作でも継続されていました。

この5thはオーストラリアと国際市場の両方で、ほぼ同時にリリースされた最初のLPでもあります。

仮に収録曲が同じでも、ミックス違いや、曲の長さそもそもが違うなど、数多いバリエーション違いトラックが存在しています(全て集めるのは大変)。

ちなみに、せっかく前作で完成したバンド・ロゴは本作で使われていませんw。

こうして、本国オーストラリア以外でも着実に成果を出し、ファンを獲得し、ワールド・ワイドなバンドとして成長していたバンドが、遂に世界的な大成功を収めるアルバムを生み出す事になります。

■Australian/US and all CD releases
All tracks are written by Angus Young, Malcolm Young and Bon Scott.

Side one

  1. Rock 'n’ Roll Damnation“ Length:3:37
  2. Down Payment Blues“ Length:6:04
  3. Gimme a Bullet“ Length:3:21
  4. Riff Raff“ Length:5:12

Side two

  1. Sin City Length:4:45
  2. What’s Next to the Moon“ Length:3:32
  3. Gone Shootin'" Length:5:06
  4. Up to My Neck in You“ Length:4:13
  5. Kicked in the Teeth“ Length:3:54

Some cassette copies, such as the original Canadian issue, had an alternate track listing. For example, “Sin City" was the first song on side 1, while “Rock 'n’ Roll Damnation" was the first song on side 2. All other tracks appear in the order of the original Australian/US release.

■European LP release

All tracks are written by Angus Young, Malcolm Young and Bon Scott.

Side one

  1. Rock 'n’ Roll Damnation“ Length:3:06
  2. Gimme a Bullet“ Length:3:20
  3. Down Payment Blues“ Length:5:40
  4. Gone Shootin'" Length:5:22
  5. Riff Raff“ Length:5:14

Side two

  1. Sin City Length:4:45
  2. Up to My Neck in You“ Length:4:12
  3. What’s Next to the Moon“ Length:3:42
  4. Cold Hearted Man“ Length:3:32
  5. Kicked in the Teeth“ Length:3:58

Initial editions of the European (UK) LP release featured a different mix of the album. It had a 'harder’ sound than the later version, with small variations in vocals, guitar tracks, or both, and occasionally extra sections and longer or shorter fades. Some versions omitted “Rock 'n’ Roll Damnation" from the track-list, but all included “Cold Hearted Man", albeit in a different sequence than on subsequent pressings. For vinyl variations containing “Rock 'n’ Roll Damnation", the single version was used, with “Riff Raff" having a fade out to accommodate the extra time on Side A. The bluesy coda on “Down Payment Blues", is also excluded from this version. UK Cassette Versions had this mix, with the single version of “Rock 'n’ Roll Damnation" and no fade on “Riff Raff", up until the 1994 remasters.[12]
The album was later remixed for the American market, with the new mix replacing the original European mix, and becoming the global standard. This mix is still used on all AC/DC Powerage CD releases today.

  • Personnel
    • Bon Scott – lead vocals
    • Angus Young – lead guitar
    • Malcolm Young – rhythm guitar, backing vocals
    • Cliff Williams – bass guitar, backing vocals (all tracks except “Cold Hearted Man")
    • Phil Rudd – drums
  • Additional personnel
    • Mark Evans – bass guitar (on “Cold Hearted Man")
    • The Youngs: The Brothers Who Built AC/DC book claims that George Young played bass on all tracks.

」は筆者オススメ・トラック


ロバート・ジョン・ランゲとの出逢い、そして米国での最初の大成功

6thアルバム「ハイウェイ・トゥ・ヘル」は、AC/DCが米国のトップ100にランク・インした最初のLPとなり、最終的には17位に到達、バンドをハード・ロック・アクトのトップランクに押し上げました。

HIGHWAY TO HELL / AC/DC (1979)

1978年までに、AC/DCは5枚のアルバムを国際的にリリースし、オーストラリアとヨーロッパを広範囲にツアーで巡ります。

1977年に彼らはアメリカに上陸し、事実上ラジオのサポートなしで、ライブのフォロワーを集め始めていました。

1978年発表、バンド初のライブ・アルバム「イフ・ユー・ウォント・ブラッド・ユーヴ・ゴット・イット」はイギリス・チャートで13位に達し、この影響で4th、5thが次々と販売数を伸ばしていきます。

かつてアトランティック・レコード・アメリカ支部は、1976の3rd「ダーティ・ディーズ~」のリリースを拒否しましたが、この頃には姿勢を改めており、ラジオ向きの楽曲を提供できるプロデューサーと組めば、AC/DCは米国で大ヒットする準備ができていると信じていました。

ここで事件が起こります。

バンドはこのアイデアに否定的であったにも関わらず、アトランティック・レコードの方針で、6番目のメンバーとも言える兄、ジョージ・ヤングとのアルバム制作は拒絶され、外部のプロデューサとニュー・アルバム制作に取り掛かるよう指示されてしまいます。

アトランティックがバンドとペアを組ませたプロデューサーは、南アフリカ生まれのエディ・クレイマーという人物。

ジミ・ヘンドリックスのエンジニアとしての先駆的な仕事をしていただけでなく、レッド・ツェッペリンやKISSとの仕事でもよく知られていていたヤリ手のプロデューサです。

クレイマーはフロリダ州マイアミのクライテリア・スタジオでバンド・メンバーに会いましたが、後の回顧録でもマルコムはエディ・クレイマーを酷く嫌っていたという発言が残っており、バンドのメンバーは、誰一人としてエディとの作業を開始しませんでした。

この状態を解決すべく当時のマネージャであったマイケル・ブラウニングは、ザンビア生まれのプロデューサー、ロバート・ジョン・ムット・ランゲをバンドに紹介します。

ランゲはブーム・タウンラッツのヒット曲「ラットトラップ」や、クローバー、シティボーイ、グレアム・パーカーなどのロック・バンドをプロデュースしたことで最もよく知られていました。

1979年のインタビューでボンスコットは次のように語っています。

「マイアミでの3週間、クレイマーとは何も書いていなかった。それで、ある日俺達は休みを取り、わざわざ『スタジオに入らないように』と彼に言った。そしてその土曜日、スタジオに忍び込んで俺達は6曲を書き録音したんだ。そのテープをランゲに送って、『一緒に仕事をしないか?』と言ったのさ。」

1979年3月、ロンドン北部のチョーク・ファームにあるラウンド・ハウス・スタジオで、遂にレコーディングは始まりました

ランゲの仕事ぶりはある種異常で、アルバムのセッションを1日15時間かけ、これを毎日2か月以上に渡って続けます。

これまで1つのアルバムに3週間以上費やしたことがなかったAC/DCにとっては大きなショックとなりましたが、ランゲの熱心なアプローチは、バンド・メンバーによって高く評価されます。

マルコム・ヤングは当時のインタビュー記事で次のように語っています。

「ランゲはバンドのシンプルさが好きだったんだ。俺達みんなミニマリストだった。それが最善の方法だと感じていたんだ。彼は俺達全員が音楽に対して献身的であることを知っていたから、俺達は互いに真のシンプルさを手に入れたのさ」

また同じ記事で、アンガス・ヤングは次のように語っています。

「彼は音に細心の注意を払い、適切なギターとドラムを重ねていった。また彼は、ボーカルの面でも優れていた。ボンでさえ、彼の声に感銘を受けていたんだ」

レコーディングに出席していたツアー・マネージャーのイアン・ジェフェリーは、次のように回想しています。

「ランゲは彼らに多くの変化をもたらした。ある日、ボンが「If You Want Blood (You’ve Got It)」の歌詞を持ってきた非の事を覚えているよ。彼はこの曲の録音が上手くいかず苦労していて、声が出るよりも息が詰まってしまっていたんだ。そこでランゲは彼に呼吸法を教えて、自ら調整出来るようにしたんだ」

AC/DCの楽曲に、メロディアスなバッキング・ヴォーカルのスタイルを持ち込んだのもランゲで、彼がバンドに追加した洗練はAC/DCの特徴的なクランチを損なうことはなく、新たな可能性を示しました。

その事により、彼はバンドとアトランティック・レコードを同時に満足させます。

アルバムは各国で大ヒットとなり、USビルボード・チャート200において、最高17位に達します。

AC/DCの快進撃はこのまま続くと誰もが期待し信じて疑っていなかったこの頃、バンドは大きな喪失を味わう事となります。

All tracks are written by Angus Young, Malcolm Young and Bon Scott. Published by Edward B. Marks Music Corporation, BMI.

Side one

  1. Highway to Hell“ Length:3:29
  2. Girls Got Rhythm“ Length:3:24
  3. Walk All Over You“ Length:5:10
  4. Touch Too Much“ Length:4:28
  5. Beating Around the Bush“ Length:3:57

Side two

  1. Shot Down in Flames“ Length:3:23
  2. Get It Hot“ Length:2:35
  3. If You Want Blood (You’ve Got It)“ Length:4:38
  4. Love Hungry Man“ Length:4:18
  5. Night Prowler“ Length:6:18
  • Personnel
    • Bon Scott – lead vocals
    • Angus Young – lead guitar
    • Malcolm Young – rhythm guitar, backing vocals
    • Cliff Williams – bass guitar, backing vocals
    • Phil Rudd – drums

」は筆者オススメ・トラック


大成功直後に起きた悲劇、スコットの死

1980年2月15日、スコットはマルコムとアンガスが後に「バック・イン・ブラック」のアルバムに録音される2曲の冒頭に取り組んでいたセッションに参加していますが、AC/DCとしての音楽的活動はこれが最後となります。

彼は「ミュージック・マシーン」と呼ばれるロンドンのクラブを訪れた後、友人であるアリステア・キニアが所有するルノー5で、イースト・ダルウィッチのオーバーヒル・ロード67番地で眠りにつきますが、翌日の夕方、キニアはスコットが死んでいるのを発見し、当局に連絡します。

2月18日の深夜から翌19日の早朝にかけての時間に、スコットは車中で亡くなったのです。

33歳でした。

スコットは「急性アルコール中毒」で死亡したと結論付けられましたが、実際は睡眠中の嘔吐による窒息だったのではと言われています。

スコットの死については状況の不審さや、事故直後にアリステア・キニアが失踪した事などから「排気ガスまたはヘロインの過剰摂取によって殺された」といった陰謀説に繋がりましたが、具体的な証拠の提示や否定は未だに行われていません。

ボンスコットの墓

スコットの死後まもなく、AC/DCのメンバーは解散を検討します。

スコットはバンドにとって、大きな精神的支柱だったわけです。

しかし、最終的に「スコットはAC/DCに継続してもらいたいと言うはずだ」と判断し、ブライアン・ジョンソンを彼らの新しいボーカリストとして迎え入れます。

スコットの死から5か月後、AC/DCは、ボン・スコットへのオマージュとして歴史的大名盤となる「バック・イン・ブラック」を発表する事になるわけです。

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最後に

ボン・スコットの死という、最大の悲劇でこのエントリは幕を閉じます。

しかしAC/DCの物語はここで終わったワケではなく、むしろここからが更なる成功と闘いの始まりでもあります。

この続きはいずれエントリとして投下予定ですので、どうかお楽しみにお待ちくださいませ。■■

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