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HELLOWEEN新譜のジャケットに萌えた人にオススメ!カヴァー・アーティスト、Eliran Kantorの絵画作品

以前「カバー・アートの鉄人達」というエントリを書かせていただきましたが、13人をピックアップする上で心がけたのは、「まずはこの人を押さえておいて欲しい」という、前提条件のようなものを示したい意図でした。

彼等の作品は時代を経た今もなお、その輝きを放ち続けているとは思いますが、その後彼等の影響を受けたり或いは新たな潮流を生み出したりと、新たな芸術を生み出す作家は出現し続けています。

今回は、そんなカバー・アート界のニュー・カマー、売れっ子アーティストである「エリラン・カンター」を紹介したいと思います。

そう。

先ごろ発表された、あのカバー・アートを描いた人物です。

Eliran Kantor(エリラン・カンター)

Eliran Kantor(1984年9月13日生まれ)はベルリンを拠点とするアーティスト兼イラストレーターです。

彼の作風は、いわゆる伝統的な厚塗り、油彩画タッチの重厚な絵画的イメージが、特徴的です。

では近年の作品からさかのぼる形で、彼の作品でも特に筆者が好きなジャケットを紹介してみます。

HELLOWEEN / HELLOWEEN (2021)

マイケル・キスク復活、カイ・ハンセン復活、というビッグ・サプライズを引っ提げてのニュー・アルバムに相応しい、ドラマチックな絵画作品に仕上がっていますね。

音とは関係ないとは言え、このジャケットを見せられて期待感も高まった方が多いんじゃないでしょうか。


OF TRUTH AND SACRIFICCE / HEAVEN SHALL BURN (2020)

この作品もドラマ性があって見応えありますよね。

ヘヴン・シャル・バーンはドイツノメタルコア・バンドで、2000年のメジャー・デビュー以来、一線で売れ続けているバンドです。

つまり今をときめくバンドが最新作で起用するというような「旬のアーティスト」だという事が判っていただけるかと思います。


BROTHERHOOD OF THE SNAKE / TESTAMENT (2016)

DARK ROOTS OF EARTH / TESTAMENT (2011)

はい、みなさんご存じテスタメントの近年の作品群です。

2008年の「THE FORMATION OF DAMNATION」以降、テスタメントは彼にジャケットを一任しています。

神話を思わせる劇的な画面に、毎度うっとりさせれています。

テスタメントは、バンドロゴもシンボリックなので、絵に見事に溶け込みますね。

全方位でカッコいい。


THE OTHER SIDE / MALEVOLENCE (2020)

英国サウスヨークシャーで2010年に結成されたハードコア・バンド、マレボレンスによる、2020年発表のEPから。

コチラも宗教画的な印象が強い作品で、黄金の果実をかじってしまった男と彼を取り巻く無数の白い腕が描かれています。

画面全体は白っぽくて美しいのに、なんとも不穏な、不気味なイメージを醸し出していて、この絵画の背景に隠された物語に興味を惹かれませんか。

説得力の高いデッサン力に裏打ちされた画力が、画面全体をビシっと引き締めてくれています。


THE GHOST OF OHIO / ANDY BLACK (2019)

元ブラック・ベイル・ブライズのシンガーであり、現在はソロ・ミュージシャンとして活動を続けているミュージシャンによる、ソロ・アルバム2枚目のジャケットです。

アンディ・ブラックの肖像画的な意味合いと共に、彼のとなりに佇む天使など、ここでも宗教画的なアプローチで描いています。

油彩画的な肖像画としてのアーティスト写真というのは、インパクトがある上に重厚な印象を演出する事が出来るのだなと、再確認させられます。

もっとこういう作戦、一般化したらいいのにな。


III DECADES LIVE CEREMONY / LOUDBLAST (2017)

1990年代を切り開いたフランス産デスラッシュ・バンド、ラウドブラストによる、2017年発表のライヴ・アルバムです。

ま音楽の事は今回はすっ飛ばすとして、このジャケットが「ライヴ・アルバムである」という事実に一瞬困惑しませんか。

つまり、「邪悪過ぎる」という意味で。

明らかに神を冒涜する方向性の絵画ですよね。

地味な画面ながら真っ赤な悪魔が全ての要素をヴィヴィッドに切り裂くという、強烈な印象を見る者の目に焼き付けてくれます。


THE SERPENT ONLY LIES / CROWBAR (2016)

ニューオリンズ産のスラッジ・バンド、クロウバーのジャケットです。

彼等のキー・アイコンをサーペント(大海蛇)で表現していますが、この構図とアレンジのアイデアが秀逸です。

この作品も神話的背景を感じさせる、ドラマチックなジャケットですよね。

髭まみれの爺さん、というモチーフはバンド・メンバーともイメージが被っていると思うんですよね。


WANDERER ON THE EDGE OF TIME / MEKONG DELTA (2010)

はい、みんな大好きメコン・デルタです、あ間違えました、筆者が大好きメコン・デルタでした。

お馴染みのモチーフとロゴを配しながら、超絶美しく荘厳なイメージに昇華されています。

このジャケットも見事ですね。

溜め息もの。


IN WAR AND PIECE / SODOM (2013)

なんと、ソドムもエリラン・カンターを起用しています。

もちろん、ソドムらしいモチーフをしっかり使いながら、自分の作風に取り込んでいます。

ガス・マスクに戦車、チェーン・ソーと、ある種ベタベタなアイテム達ですが、絵画的アプローチによって「いつものソドム」とは一味変わったジャケットになっているんじゃないでしょうか。


PROFANE NEXUS / INCANTATION (2017)

1980年代から活躍している、ペンシルバニアのデスメタル・バンド、インカンテイションによる2017年発表10thアルバムのジャケットです。

描いている内容そのものを具体的に説明する事は出来ないのですが、とにかく強烈に不穏で邪悪なイメージである事だけは伝わるかと思います。

背景を構成している大部分の色味が緑がかった黄土色というのも、なんとも言い難い気持ちの悪さを表現していて、流石だなあと思わされました。


SAMSARA / VENOM PRISON (2019)

英国サウス・ウェールズのデス・メタル・バンド、ヴェノム・プリズンから、2019年発表の2ndアルバムです。

ゴリゴリのグラインド・コアにも歩み寄った音楽性の彼等ですが、やはりエリラン・カンターを起用しました。

この重厚で白い画面が、言い知れぬ邪悪な空気を放っていますよね。

よくよく見ると女性の下半身はおかしな造形になっていますし、何か卵らしきものを産んでいるのか、明らかに良くない事が起こっていると感じさせられませんか。

このジャケットも怖くて忘れられない強烈なインパクトがあります。


HEIR TO DESPAIR / SIGH (2018)

最後は、1989年から活動を続けているという日本が誇るブラック・メタル・バンド、SIGH(サイ)による、2018年発表の最新作(11th)を。

2012年発表の9th「シン・ソムニフォビア」に続き、エリラン・カンターを起用したのですが、なんなんだこのジャケットは。

絵の各要素がパッと見では見過ごしがちながら、よくよく見ると各所に違和感を感じる不穏な作品になっています。

このジャケでブラック・メタルなんですよ(いずれ紹介したいと思っています)。

最後に

いかがでしたでしょうか。

売れっ子カヴァー・アーティストの今後の活躍を刮目していきましょうね。

もちろん音も楽しみつつ。■■