【全アルバム解説】スラッシュ・メタル界の帝王「スレイヤー」の名曲・名盤一挙紹介
- 1. スレイヤーってどんなバンド?
- 2. スレイヤーの全スタジオ・アルバムと名曲を全力紹介
- 2.1. スラッシュ黎明期
- 2.1.1. Show No Mercy / SLAYER (1983)
- 2.1.2. Haunting the Chapel / SLAYER (1984)
- 2.1.3. Live Undead / SLAYER (1984)
- 2.1.4. Hell Awaits / SLAYER (1985)
- 2.1.5. Reign in Blood / SLAYER (1986)
- 2.1.6. South of Heaven / SLAYER (1988)
- 2.1.7. Seasons in the Abyss / SLAYER (1990)
- 2.1.8. Decade Of Aggression / SLYER (1991)
- 2.2. メンバーチェンジからの実験期
- 2.1. スラッシュ黎明期
- 3. スラッシュ帝王成熟時代
- 4. 最後に
もう何と言いますかね、スレイヤーの事を語ろうとするとどこから話していいものやら、とても迷ってしまうのです。
このバンドのオリジナリティはもちろん、作品の特異性、影響力、質の高さ、変わらぬ拘り、などなど、次から次へと言葉があふれてきてしまうのですが、全スタジオ・アルバム追い掛ける形で、彼らの歴史を解説していこうと思います。
スレイヤーってどんなバンド?
Dave Lombardo (Drs.) / Jeff Hanneman (Gt.) / Kerry King (Gt.) / Tom Araya (Bs.)
略歴
- 1983年、トム・アラヤ(Vo. Bs.)、ケリー・キング(Gt.)、ジェフ・ハンネマン(Gt.)デイヴ・ロンバード(Drs.)の4人で結成
- メタル・ブレイド・レコーズによるコンピレーションアルバム ” メタル・マサカー3 – METAL MASSACRE 3 – ” に参加しレーベルと契約、同年12月にデビュー作となる1st ” ショウ・ノー・マーシー – SHOW NO MERCY – ” を発表
- 1980年代に登場したスラッシュ・メタルのシーン醸造に大きく貢献し、メタリカ、アンスラックス、メガデスと共にBIG4と並び称される
- 1992年にデイヴ・ロンバードが脱退、新ドラマーとして元フォビドゥンのポール・ボスタフが加入
- 1996年、パンク/ハードコアカバーアルバム ” アンディスピューテッド・アティテュード – UNDISPUTED ATTITUDE – ” を発表後ポールが脱退し、新ドラマーとして元テスタメントのジョン・デッティが加入するが、すぐにポールが復帰した
- 2006年、オリジナル・ドラマーのデイヴが復帰し、約5年ぶりの9thアルバム、 ” クライスト・イリュージョン – CHRIST ILLUSION – ” をリリース、ビルボード初登場5位を記録
- ” クライスト・イリュージョン – CHRIST ILLUSION –” に収録された楽曲 ” Eyes Of The Insane ” が、第49回グラミー賞の最優秀メタル・パフォーマンス部門を受賞
- 2008年、 ” CHRIST ILLUSION ” のリイシュー盤に収録された楽曲 ” Final Six ” が、第50回グラミー賞の最優秀メタル・パフォーマンス部門で受賞
- 2011年、ジェフが右腕を毒蜘蛛に噛まれ壊死性筋膜炎を発症したためバンドを離脱、ツアーにはエクソダスのギタリストゲイリー・ホルトがサポートで参加する
- 2011年より壊死性筋膜炎のため療養していたジェフ・ハンネマンが、2013年5月2日 肝不全により死去
- 2013年2月、デイヴがツアーに参加しないことを表明、5月30日に脱退したデイヴの後任としてポールが復帰
- 2018年に「ファイナル・ワールド・ツアー」を開始し、このツアーが最後になると発表
- 2019年同11月、地元カリフォルニア州の最終公演をもって活動停止した
スレイヤーの全スタジオ・アルバムと名曲を全力紹介
基本的には、オリジナル・スタジオ盤を紹介する予定ですが、いくつかのアルバムもトピックとして扱いたい(扱ってしまう)と思っています。
名曲の動画も併せて紹介しますから、もしもあなたがこれまで「スレイヤー?聴いた事ないね」というスタンスの人類なら、新たな芸術を知る切っ掛けとなるかも知れませんので、お楽しみに。
ではイ(逝)きましょう。
スラッシュ黎明期
1980年代のミュージック・シーンといえば、今から数えてもう30年も前の話になってしまいますから、多くのリスナー諸氏には歴史的事実のような存在なのかもしれません。
事実、昨今のシーンとは大きくその様相が違っており、「ジャンルそのものが生まれ出る」という時代の真っ只中だったと言えます。
HR/HMシーンで言えば、70年代を席巻したディープ・パープルなどのプレグレッシヴなハード・ロックや、レインボウなど伝統的な様式美をベースにしたロックから、アイアン・メイデンをはじめとするNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)の潮流も一旦は落ち着き、次なる起爆装置の出現が待たれるような熱い空気感だったわけです。
そんな中、遂に「スラッシュ・メタル」がシーンに登場します。
後に「BIG4」と呼ばれる4つのバンドが、80年代初頭に次々デビューを果たし後のメタル・シーンにおける大きな渦となっていくのですが、デビュー直後の頃は必ずしも高い評価を得ていたわけではありませんでした。
むしろ「こんなのメタルじゃない」「速くてうるさいだけで音楽性が乏しい」というネガティヴな反応が少なくなかったんですね。
アルバム発表前のエピソードも多く残っていますがそれは別のエントリで書くとして、デビュー・アルバムからラストアルバムまで、追いかけていきましょう。
BIG4の中では、メタリカ1983年07月発表の1st ” キル・エム・オール ” に続いて2番目、1983年12月にスレイヤーが1stアルバムを発表します。
Show No Mercy / SLAYER (1983)
Side One
- “Evil Has No Boundaries“ Lyrics:Hanneman, King Music:King Length:3:09
- “The Antichrist“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman, King Length:2:49 ★
- “Die by the Sword“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:3:36
- “Fight till Death“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:3:37
- “Metal Storm / Face the Slayer“ Lyrics:King Music:Hanneman, King Length:4:53
Side Two
- “Black Magic“ Lyrics:King Music:HannemanKing Length:4:03 ★
- “Tormentor“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:3:45
- “The Final Command“ Lyrics:King Music:Hanneman, King Length:2:32
- “Crionics“ Lyrics:Hanneman, King Music:Hanneman, King Length:3:29
- “Show No Mercy“ Lyrics:King Music:King Length:3:06 ★
Personnel
- Tom Araya – bass, vocals
- Kerry King – guitars
- Jeff Hanneman – guitars
- Dave Lombardo – drums
「★」は筆者オススメ・トラック
The Antichrist
Slayer – Black Magic (OFFICIAL)
メタリカのデビューから遅れる事4カ月、スレイヤーは遂にフルレンス・アルバムを発表しました。
当時メンバーは、トム・アラヤ(Ba.)21歳、ケリー・キング(Gt.)19歳、ジェフ・ハンネマン(Gt.)19歳、デイヴ・ロンバード(Drs.)18歳、という若さで、無軌道で無分別な勢い爆裂状態だった事は想像に難くないでしょう。
当時のレーベルは、コンピレーション・アルバム ” メタル・マサカー Metal Massacre ” の発起人であるブライアン・スレイゲル(Brian Slagel)が作った ” メタル・ブレイド・レコーズ ” でしたが、まともなレコーディング・バジェットが用意できる状況になく、結果的にバンドによる自費制作、セルフ・プロデュースという形で録音されます。
音源そのものはお世辞にも音質が良いとは言えないながら、楽曲のキレは後のスレイヤーに繋がる片鱗を伺い知れる内容です。
しかしまだ幾分、ギター・リフや曲展開の方法に英国ヘヴィ・メタルからの影響やハード・ロック的なアプローチが見え隠れするあたりは、なんだか微笑ましくも感じますね(初期ライヴでは、ジューダス・プリーストやアイアン・メイデンの曲をカヴァーする事も多かったのだとか)。
全体を通してまだガチのスラッシュという風合いではなく、パンキッシュな風味のあるHR/HMといったイメージで、ドラム・プレイの異常なスピード感やクレイジーなギター・ソロなどの「スレイヤー節」はまださほど表出していません。
ただ強烈に反キリスト的な歌詞や悪魔的な内容を含んでいた事から、PMRC(Parents Music Resource Center)の抗議を1stからしっかり受けています。
この辺りは最初っからスレイヤーだったんだなあ、という印象です(w)。
デビュー・アルバムは一定の批判に晒されながらも、同時期のメタル・ブレイド・レコーズが発売するHR/HMレコードの売上が凡そ5,000枚であったのに対して、スレイヤーはアメリカ国内で20,000枚、海外でも15,000枚OVERというセールスを記録します。
Hell Awaits / SLAYER (1985)
Side A
- “Hell Awaits“ Lyrics:King Music:Hanneman, King 6:16
- “Kill Again“ Lyrics:King Music:Hanneman, King 4:56
- “At Dawn They Sleep“ Lyrics:ArayaHanneman, King Music:Hanneman 6:17
Side B
- “Praise of Death“ Lyrics:Hanneman Music:King Length:5:21
- “Necrophiliac“ Lyrics:Hanneman, King Music:Hanneman Length:3:46
- “Crypts of Eternity“ Lyrics:Araya, Hanneman, King Music:Hanneman, King Length:6:40
- “Hardening of the Arteries“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:3:55
Personnel
- Tom Araya – bass, vocals
- Kerry King – guitars
- Jeff Hanneman – guitars
- Dave Lombardo – drums
「★」は筆者オススメ・トラック
Hell Awaits
1stアルバムが当時のメタル・ブレイド・レコーズにとって最大の売上となった(全世界で40,000枚に到達)事で、さすがに ブライアン・スレイゲル は予算をバンドに与えました。
そうしてスレイヤーは2ndアルバムで初めて、自分達以外のプロデューサ、エンジニアと共にレコーディング作業を進める事となります。
通常使われるSEの導入やオーヴァー・ダブなど、おおよそプロフェッショナルと言える制作環境を手に入れた彼らは、1stやその後のEPに比べると、随分と長く、且つエフェクティヴで展開の多い曲を多数生み出します。
8曲中、6分を超える曲がなんと3曲も収録されました(その後のスレイヤーでは考えにくい構成です)が、アルバム全体で見ればたったの7曲、合計37分というコンパクトな仕上がりです。
1stに比べると、2年という間隔が彼らの成長に大きく寄与した事が伺い知れる内容で、勢い一発!の状態から、楽曲の見せ場や演出、楽曲そのもののバリエーションなど、更にサウンド面でも大きく前進した印象です。
また、90年代に向けてシーンが活性化する事となる、ブラック・メタルへの影響もありそうですね。
判り易くトレモロ・リフでグイグイ追い立てるような楽曲も収録されていますが、この頃のスレイヤーは後期の彼らよりもより悪魔崇拝的な世界観が強いので、表現しようとする世界観そのものからして「ブラック・メタル的原石」だったと言えるかもしれません。
また特筆すべきは、このアルバム時点でトムのパーカッシヴなヴォーカル・スタイルが概ね完成している事です。
ヴォーカル・ラインのリズム、符割りが実に個性的で、シンコペーション、裏打ち、ややハネなどなど、巧みにリズムを使い分けるスタイルがカッケーですね。
是非、注意して聴いてみてください。
Reign in Blood / SLAYER (1986)
Side A
- “Angel of Death“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:4:51 ★
- “Piece by Piece“ Lyrics:King Music:King Length:2:02
- “Necrophobic“ Lyrics:HannemanKing Music:HannemanKing Length:1:40
- “Altar of Sacrifice“ Lyrics:King Music:Hanneman Length:2:50
- “Jesus Saves“ Lyrics:King Music:HannemanKing Length:2:54
Side B
- “Criminally Insane“ Lyrics:HannemanKing Music:HannemanKing Length:2:23
- “Reborn“ Lyrics:King Music:Hanneman Length:2:11
- “Epidemic“ Lyrics:King Music:HannemanKing Length:2:23
- “Postmortem“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:3:27
- “Raining Blood“ Lyrics:HannemanKing Music:Hanneman Length:4:14 ★
Personnel
- Tom Araya – bass, vocals
- Kerry King – guitars
- Jeff Hanneman – guitars
- Dave Lombardo – drums
「★」は筆者オススメ・トラック
【日本語訳】 スレイヤー Slayer – Angel of Death (Japanese sub)
Slayer – Raining Blood (Live)
そして遂に、このアルバムが発表されてしまうわけです。
スレイヤー3枚目のスタジオ・フルレンス・アルバムにして、スラッシュ・メタル界、いやHR/HM界の歴史に燦然と輝く名盤 ” レイン・イン・ブラッド ” です。
前作では楽曲の構造を作り込み、展開やアイデアの量マシマシ状態の作風だった事に対する反動か、本作では一切の無駄を削ぎ落としたかのようなアルバムに仕上がっています。
冗長なイントロ・パートは無く、突然トップギア全開から始まるような曲が矢継ぎ早に繰り出されます。
全10曲ながら全体で28:55しかないアルバムですが、一曲一曲の濃度が異常な濃さに調整されており、聴き終えた時に感じるボリューム感は凄まじいんですよね(4分台×2曲、3分台×1曲、2分台×6曲、1分台×1曲)。
内容も基地外じみていまして唯一の1分台の曲 ” ネクロフォビック ” はBPM240です(つまり1秒間に4拍、てことは1小節)。
またこのアルバムから、後の盟友となるプロデューサ"リック・ルービン"が参戦し、スレイヤー黄金期を共に作り上げる事になります(胸アツ展開)。
更に、古巣メタル・ブレイド・レコーズを離れ、当時まだヒップ・ホップ系のレーベルであったデフ・ジャムに移籍してのアルバム発表でした。
US Billboard 200にバンド初のランクインを果たし、なんと94位まで上昇、1992年11月20日にゴールド・ディスクを獲得します。
またローリングストーン誌は、2017年「史上最高のメタルアルバム100枚」のリスト中 ” レイン・イン・ブラッド ” 6位に格付けしています。
また当時ほぼ無名に等しい状態であったアンディ・ウォレスをエンジニアとして起用していますが、彼は後のスレイヤー・サウンド構築に大きく貢献した人物で、90年代にはニルヴァーナの作品に関わるなど、オルタナティヴ・ロックの方面でもそのヘヴィなサウンド作りが広く評価されました。
もしもあなたがHR/HMリスナーでこのアルバムを全編通して聴いた事がないなら、どうか30分だけスレイヤーに捧げてください。
時代を超えるインパクトが待っていますのでね。
South of Heaven / SLAYER (1988)
Side A
- “South of Heaven“ Lyrics:Araya Music:Hanneman Length:4:58 ★
- “Silent Scream“ Lyrics:Araya Music:Hanneman, King Length:3:07
- “Live Undead“ Lyrics:Araya, King Music:Hanneman Length:3:50 ★
- “Behind the Crooked Cross“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:3:15
- “Mandatory Suicide“ Lyrics:Araya Music:Hanneman, King Length:4:05
Side B
- “Ghosts of War“ Lyrics:King Music:Hanneman, King Length:3:53
- “Read Between the Lies“ Lyrics:Araya, King Music:Hanneman Length:3:20
- “Cleanse the Soul“ Lyrics:Araya, King Music:Hanneman Length:3:02
- “Dissident Aggressor" (Judas Priest cover) Lyrics:Halford Music:Downing, Tipton Length:2:35 ★
- “Spill the Blood“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:4:48
Personnel
- Tom Araya – bass, vocals
- Kerry King – guitars
- Jeff Hanneman – guitars
- Dave Lombardo – drums
「★」は筆者オススメ・トラック
Slayer – South Of Heaven
前作での成功を受けて、ほぼ同じ制作体制でレコーディングされた4thは、1988年07月に発表されました。
10曲で37分という数字だを見れば前作と同じコンセプトのように思えますが、本作ではスローなパートを含む楽曲が明らかに増えています。
のちのインタビューでケリーは「レイン・イン・ブラッドと同じ事やってもあの作品は超えられないと思っていた」と語っています。
実際、それまでのスレイヤーに比べて、重たく引きずるような展開を含む曲が増えてはいるものの、ずっと遅いままというような事はなく、タメにタメてスピード・パートに繋がる演出となっており、緩急のコントラストからダルさは皆無です。
また前作までの楽曲との違いとして、トムが作詞面で貢献することが増えた作品でもあります(約半数がトムによる作詞)。
詩の内容は、サタニックでホラー的なおどろおどろしさから、戦争や中絶、自殺など、シリアスで社会的な「死」にまつわる内容へと接近しています。
本作について特筆すべきは、オリジナル・アルバムで唯一、カヴァー曲を正規の本編ラインナップに含んでいる事でしょう。
ジューダス・プリースト1977年発表 ” シン・アフター・シン ” に収録されていた曲で、ミドル・テンポのヘヴィなンバーですが、しっかりスレイヤー印が刻印されていますね。
ジューダス~は彼等のルーツ音楽の一つであり、古くからカヴァーしていた彼等の敬意が感じられるような気がしませんか。
Judas Priest – Dissident Aggressor (Official Audio)
Seasons in the Abyss / SLAYER (1990)
Side A
- “War Ensemble“ Lyrics:Hanneman, Araya Music:Hanneman Length:4:51
- “Blood Red“ Lyrics:Araya Music:Hanneman Length:2:47
- “Spirit in Black“ Lyrics:King Music:Hanneman Length:4:07
- “Expendable Youth“ Lyrics:Araya Music:King Length:4:09
- “Dead Skin Mask“ Lyrics:Araya Music:Hanneman Length:5:20
Side B
- “Hallowed Point“ Lyrics:Hanneman, Araya Music:Hanneman, King Length:3:23
- “Skeletons of Society“ Lyrics:King Music:King Length:4:40
- “Temptation“ Lyrics:King Music:King Length:3:25
- “Born of Fire“ Lyrics:King Music:Hanneman, King Length:3:07
- “Seasons in the Abyss“ Lyrics:Araya Music:Hanneman Length:6:34 ★
Personnel
- Tom Araya – bass, vocals
- Kerry King – guitars
- Jeff Hanneman – guitars
- Dave Lombardo – drums
「★」は筆者オススメ・トラック
Slayer – War Ensemble
Slayer – Seasons In The Abyss (Official Video)
1990年10月に発表された5thアルバムです。
丁度バンドが本作の曲作りをしていた頃、メガデス、テスタメント、スイサイダル・テンデンシーズというラインナップのジョイント・ツアー「クラッシュ・オブ・ザ・タイタンズ」が1990年10月からスタートすることが決定しており、かなり急いでレコーディング作業を行ったそうです。
前作で彼等なりの実験的アプローチでもあったヘヴィさに振った作風により得た経験値を、本来の持ち味であるクレイジーなスピードとのコントラストという形で昇華させた決定版的アルバムで、セールス的にもそれまでの最高売り上げを叩き出しました。
Billboard 200では最高40位に到達、バンドにとって初となる全米トップ50入りを果たします。
また全英アルバムチャートで18位に到達、初のトップ20を果たしました。
彼等のアリジナル・アルバム中では最長の42分台のアルバムですが、3rdで感じられたような「一切の無駄を排した作風」により中ダルみ感は一切感じられません。
前作に引き続きトムが全体の半数程の曲で作新を担当し、スレイヤーの歌世界にシリアスな世界観を持ち込む事も定番化した印象です。
①は後のライヴでも定番となるハイ・クオリティな人気曲で、多彩な展開を含むスピード・ナンバーながら5分台の長尺曲ですが、一気に走り抜けるアレンジは爽快の一言に尽きます。
タイトル曲 ” シーズンズ・イン・ジ・アビス ” はシングルとしてもリリースされ、全英シングル・チャートでは51位に達したました。
同曲はバンドにとって初のミュージック・ビデオも制作されていますね。
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