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僕にとって最初の「黒いメタルの入り口」はディセクションだった件

今日の一曲-070

1993
THE SOMBERLAIN / DISSECTION
ザ・サンバーレイン / ディセクション

ブラック・メタルの伝説的バンドを紹介しておこうと思います。

僕がブラック・メタルという単語を明確に意識したのは、このバンドが最初、この曲を耳にしたコトがきっかけでした。

憂いを帯びた扇情的なギター・リフが印象的で、最初はネオ・クラかな?なんて勘違いしたのを覚えています。

後々このジャンルを聴くようになってからも、ネオ・クラ的な香りを感じ続けていました。

が、決定的に違ったのは、目指していた世界観があまりに殺伐としていたコトと、リズムのスタイルがスラッシュ以降のブラスト・ビートをベースにしていたコトでした。

ブラスト・ビートの話

今となっては、ブラスト・ビートも一般的になったもので、HR/HM系のチャートなら結構上位のアーティストも使っているリズムですよね。

しかしかつては、グラインド・コアの一部と、デス・メタルの一部でしか聴くコトがない、いわゆる「キワモノ」扱いされがちなスタイルでした。

確かに、あまりに速いビートの為、結局プレイしてきる本人も制御しきれていないケースが、少なくなかったんです。

表か裏かわからないまま音の洪水に蹂躙される快感というものが、それはそれで存在していて、ビートの整合性を必ずしも是としない志向性もなんとなく理解できます。

ただそんな中で、時折とんでもないテクニックを持つプレイヤがシーンに飛び出してくるコトがありました。

彼らによってブラスト・ビートはより整理され、攻撃性を失わないまま発展するコトになります。

一度整理されてそれが一般化すると、シーン全体のスキルやクオリティが突然引き上げられる事が、稀に起こるんです。

音の壁に変わる瞬間

とにかく、DISSECTION みたいなバンドにとって、ブラストは必須科目だったんです。

ビートがあるスピードを超えると、もはや表裏やグルーヴの理解から解放されて、音の壁のような存在になります。

レガートがほとんどない打楽器の音の粒が、究極的に密度を上げていく過程ともいえます。

そんな音の壁を土台にして、切ないギター・リフと絶叫しているかのような声が絡みついてきます。

表現の方法は違うにせよ、彼らは哀しさをテーマにしているんですよ。

ちなみにディセクションは、比較的ブラストを使わないバンドではあるんですけどね。

最後に

ある意味で「キャッチー」ともいえる楽曲の構成が、ブラック・メタル愛好家拡大に一役買っていたのは間違いないと思います。

たぶん分岐点は、声、でしょうか。

この悲痛なガシャガシャ声に抵抗を感じるか否かで、楽しめるか否かがまず大きく決定されるような気がします。■■


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