危うい音源だがついつい聴いてしまうNWOBHMの雄、それがアイアン・メイデン
かつてイギリスで、ヘヴィ・メタル勃興のムーブメントが存在していました。
New Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)と呼ばれる潮流です。
イギリスに端を発し後に世界中を席巻する大きな渦となったそうです。
今もなお続くメタル・シーン、ラウド・シーンに大きな影響を与えた、とされていますね。
驚くべき事実は、このムーブメントが1970年代後半に巻き起こったコトだと思います。
なんとパンクの後、なんですよね。
そして当時は、このムーブメントが凄まじい勢いを持っていた、らしいです。
NWOBHMの登場をキッカケにして世界中でメタル・バンドが続々とデビューしたというのですから、なんとエキサイティングな時代だったでしょう。
僕はメタルの洗礼をメタリカの音楽で受けて以来、数々のラウド・ミュージックに触れてきました。
しかしアイアン・メイデンに関しては永らく懐疑的だったんです。
というか、良さが判らなかったんですね。
判るだけの感受性を持ち合わせていなかった、という表現が正しいかもしれません。
一番最初に聴いたアルバムは1990年の8thアルバム「ノー・プレイヤー・フォー・ザ・ダイイング」だったんですけど、当時僕はこの音源に対して一切の感動を得られませんでした。
こんなにも成功しているバンドの音源に全く楽しさを見出だせなかったのは、僕の趣味趣向がきっと偏っているからだと思って、あまり深追いするコトなく「自分に合わない音楽」のラベルを貼り付けて放置してしまいます。
後に知ったところによれば、「ノー・プレイヤー・フォー・ザ・ダイイング」はバンド史上10番目に売れたアルバムで21万枚のセールスだったそうです。
フルレンス・アルバムは2020年時点で16枚発表されているから、真ん中よりちょっと後ろって感じでしょうか。
まあつまりあまり出来栄えの良い方の作品ではなかったっていうコトなんでしょうかね。
といいつつ、21万枚は売ったのだから、それを良くないと判断するのは勇気が要るコトに違いありませんが。
そんな出逢いから10年が経ち僕は再度アイアン・メイデンに接近しました。
2000年発表の12thアルバム「ブレイヴ・ニュー・ワールド」です。
このアルバムは、一度アイアン・メイデンを離脱したヴォーカリストのブルース・ディッキンソンが再合流した記念すべき作品、なんだって。
その時は、ブルース・ディッキンソンという名前くらいは知っていたのですが、彼に対して何か強烈な印象を持っていたわけではありませんでしたし、心臓を撃ち抜かれたようなインパクトのある体験をするコトも結局ありませんでした。
むしろ、リズムがヨレるなあとか、時々ベースが主張し過ぎてるなあとか、どちらかといえばネガティブな印象を持ったと思います。
ところが、このアルバム以降僕はコトあるごとにアイアン・メイデンのアルバムを手にするようになったんです。
自分でもよく判りません。
ちょっと好きだった、とか全然思えないですからね。
大して興味なかった、はずだったのに。
そうしてゆるゆると今更ながらと感じつつ、過去の有名曲を漁っていきました。
その後は、新作が出れば必ず買うし聴くし、過去作もCDを購入していきました。
気が付けば、ブレイズ・ベイリー時代も含め、ほぼすべてのアルバムを板で持っている状態になってしまっています。
僕はアイアン・メイデンのように、「強烈に心酔しているわけでもないのにアルバムを全部持っているバンド」は他にありません。
だから未だに、自分がこのバンドのどこに心惹かれているのか、実はハッキリ自覚できていないんです。
なのに聴き続けてしまう。
本当に不思議な魅力、としかいいようがない困ったグループです。
この記事で紹介したいのは、そんな彼らの曲の中でもかなり古い部類に入る、でもかなりの人気曲でライヴでは超盛り上がるような、ファンなら誰でも知っている佳曲です。
リズム・チェンジも多いし音域を結構広いし、なかなか高度な曲だと思います。
で、本人たちもまだレコーディング時は自分たちの技術が追い付いていないコトがうかがい知れるような、演奏上の甘さが明らかにあります。だがソレも味となっていてイイのですから困ったものです。
もうこうなってしまうと、何をヤってもアタリを引いてしまうようなもの。
好きになる、っていうのはそういうコトなのかもしれませんね。■■
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