【アルバム解説】メタリカ3rdアルバムのアツ過ぎるOP曲「BATTERY」紹介と、デビュー経緯の歴史
みなさん初めまして。
僕はメタリカの3rdアルバム「マスター・オブ・パペッツ」の一曲目に収録されている「バッテリー」という曲によってヘヴィ・メタルがなんであるのかを知った、「TSUYOSHI-ツヨシ」と申します。
今後このブログでは、HR/HMに関連した話題を中心に、音楽の素晴らしさを発信していきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
一発目は迷わずこのバンドを選びました。
メタリカってどんなバンド
- メタリカはアメリカのヘビー・メタル、スラッシュ・メタル・バンド。バンドは1981年にロサンゼルスでボーカリスト/ギタリストのジェイムズ・ヘットフィールドと、ドラマーのラーズ・ウルリッヒによって結成され、キャリアの殆どをサンフランシスコを拠点に活動している。
- メガデス、アンスラックス、スレイヤーと並んで、スラッシュメタルの「ビッグ4」の1つとされている。
- メタリカの現在のラインナップは、創設メンバーでありソング・ライターのジェームズとラーズ、結成後少し遅れて加入したリード・ギタリストのカーク・ハメット、そして3人目のベーシストであるロバート・トゥルージロの4人編成。
- 旧メンバーとして、ギタリストのデイヴ・ムステイン(バンドから解雇された後メガデスを結成)、ベーシストのロン・マクゴブニー、クリフ・バートン(1986年スウェーデンでバス事故により逝去)、ジェイソン・ニューステッド(メタリカ脱退後、エコーブレイン、オジー・オズボーン、ヴォイヴォドなど多くのバンドで活躍)が在籍していた。
- 2009年、バンドはロックの殿堂入りを果たしている。
メタリカ始動、全ての起点はドラマーのラーズだった
1981年後半、デンマークのドラマー、ラーズ・ウルリッヒがロサンゼルスの新聞The Recyclerに広告を掲載した事でメタリカの歴史は始まります。
「当方ドラマー。タイガース・オブ・パンタン、ダイアモンドヘッド、アイアン・メイデン等を好むメタル・ミュージシャンを探している。ジャム・セッションをしたい」
この時ラーズはまだバンドを結成してはいなかったものの、「メタル・ブレイド・レコーズ」というレーベルからリリースが予定されていた「メタル・マサカ-」というコンピレーション・アルバムへの参加を、レーベル創始者のブライアン・スラゲルに取り付けていました。
そうして、バンド「レザー・チャーム」の元メンバーであったジェイムズ・ヘットフィールドとのヒュー・タナーがこの広告に答えます。
この事をきっかけに、ラーズはリズム・ギターの担当、シンガーの担当としてジェームズとタッグを組む事を決意したわけです。
ラーズとジェイムズが初めて逢った5か月後の1981年10月28日に正式に結成されました。
コンピレーション・アルバムに「ヒット・ザ・ライツ」で参加
このコンピレーションは、後にシリーズ化され、80年代に活躍するメタル・バンドが数多く輩出されることになります。そして2016年迄に14アルバムも制作されました。
このコンピレーション参加をきっかけに、メタリカはじわじわと評価を集めファンの数を拡大していくコトになります。
- “Cold Day in Hell" – Steeler – 4:17
- “Live for the Whip" – Bitch – 5:19
- “Captive of Light" – Malice – 3:21
- “Tell the World" – Ratt – 3:16
- “Octave" (instrumental) – Avatar – 3:48
- “Death of the Sun" – Cirith Ungol – 3:56
- “Dead of the Night" – Demon Flight – 2:35
- “Fighting Backwards" – Pandemonium – 3:44
- “Kick You Down" – Malice – 4:28
- “Hit the Lights" – Metallica (listed as “Mettallica") – 4:25
- Personnel
- James Hetfield – lead vocals, rhythm guitar
- Lars Ulrich – drums
- Lloyd Grant – lead guitar
- Ron McGovney – bass
コンピレーション・アルバム参加直後に、リード・ギタリストとして、デイヴ・ムステインが広告を通じて(またかw)合流、満を持してオリジナル曲のみで構成されたメタリカの1stデモ・テープが遂に完成します。
バンド初のデモ・テープ遂に爆誕
このデモでは、後の発表される1stアルバム「キル・エム・オール」にも収録されている7曲が録音されましたが、随所でアルバム版とはアレンジが異なっており、特にデイヴのギター・ソロは大きく違った味わいのプレイを聴く事が出来ます。
まだこの時点ではデビュー時のメンバーが揃っていません。
デモ・テープは都合3タイトル録音されますが、これらがファンジンを介して各地のメタル・マニアに浸透していったわけです。
- “Hit the Lights" 4:18
- “The Mechanix" 4:28
- “Motorbreath" 3:18
- “Seek & Destroy" 4:55
- “Metal Militia" 5:17
- “Jump in the Fire" 3:51
- “Phantom Lord" 3:33
- Personnel
- James Hetfield – lead vocals, rhythm guitar
- Lars Ulrich – drums
- Dave Mustaine – lead guitar
- Ron McGovney – bass
Recorded on July 6, 1982 at Chateau East Studio, Tustin, CA
後に永い遺恨を残す事になったメンバー・チェンジ
3作目のデモ・テープ制作の時点で、ベーシストはジェイムズとデイヴによって解雇され、元「トラウマ」のクリフ・バートンに入れ替わります。
このクリフ加入の条件としてロサンゼルスからサンフランシスコに拠点を移す事が必要でしたが、ジェイムズとラーズは条件を聞き入れます。
いかにクリフ・バートンを重要視していたのかが判る有名なエピソードです。
クリフ合流後、最後のデモ・テープを制作、いよいよレーベル「メガフォース」からのデビュー目前という段階で、それまでライヴ・パフォーマンスやデモ・制作を共にしてきたデイヴ・ムステインを電撃解雇してしまいます。
代わりとして、後にベイエリア・スラッシュとして名を馳せるバンド「エクソダス」の結成メンバーであったギタリスト、カーク・ハメットが合流し、デビュー・アルバム「キル・エム・オール」が録音される事になります。
デイヴ解雇は、結果として新たなバンド「メガデス」を生む事に繋がったのですが、この時デイヴはひどく落胆し打ちのめされた状態であった事を後に各種インタビューなどで語っています。
またカーク・ハメットを含むメタリカのメンバーに対する恨みも大きかったようです。
デイヴ・ムステインとメタリカの関係性がその後どう変化したのかという話題は、胸が熱くなるエピソードがたくさん残っているので、いずれ書きたいと思います。
歴史的名盤「マスター・オブ・パペッツ」の誕生
メジャー・デビューを果たしたメタリカは、アルバムをリリースする度に新たなファンを獲得、その活動規模を確実に拡大していきます。
そして成長を重ねた彼等がミュージシャンとして脂が乗り切った状態で制作されたのが、1986年3月3日にエレクトラ・レコーズからリリースされ歴史的名盤となる3rdアルバム「マスター・オブ・パペッツ」です。
このアルバムは、スラッシュ・メタルに新しいレベルの重さと複雑さを導入し、アンダー・グラウンドからスラッシュが這い出るきっかけとなった作品です。
1986年3月3日にリリースされたこのアルバムは、ビルボード200アルバム・チャートで72週間ランク・インし続け、バンドに初のゴールド・ディスクをもたらしました。
1986年3月29日に128位で初登場、ピーク時で29位をマークしています。
リリース後最初の3週間で30万枚が売れ、実質的にラジオのエア・プレイやミュージック・ビデオがない中、当時のスラッシュ・メタルとしては異例の大ヒット。
現在は各国で記録を立てまくりながら、600万枚以上が出荷されています。
また、スラッシュ・メタルにおける世界初のプラチナ・アルバムでもあります。
2015年には米国議会図書館によって選ばれた最初のメタル・アルバムとなり、「文化的、歴史的、または審美的に重要」であるために国家記録登録簿に登録されています。
いかがでしょう、この凄まじさが伝わったでしょうか。
- “Battery" Hetfield/Ulrich 5:13
- “Master of Puppets" Burton/Kirk Hammett/Ulrich/Hetfield 8:36
- “The Thing That Should Not Be" Ulrich/Hetfield/Hammett 6:36
- “Welcome Home (Sanitarium)" Hetfield/Ulrich/Hammett 6:27
- “Disposable Heroes" Ulric/hHetfield/Hammett 8:17
- “Leper Messiah" Hetfield/Ulrich 5:40
- “Orion" (instrumental) Burton/Hetfield/Ulrich 8:27
- “Damage, Inc." Hetfield/Ulrich/Burton/Hammett 5:32
- Personnel
- James Hetfield – vocals, rhythm guitar, solo on “Master of Puppets" and “Orion", production
- Kirk Hammett – lead guitar, production
- Cliff Burton – bass, backing vocals, bass solo on “Orion", production
- Lars Ulrich – drums, production
非常に長い前振りとなってしまいましたが、それだけの経緯、背景をもったバンドでありアルバムである事を知ったうえで、アルバムの1曲目を飾るこの曲を、是非聴いてください。
BATTERY / METALLICA(1986)
バッテリー / メタリカ
スラッシュ・アンセム「BATTERY」の魅力
抒情的なアコースティック・ギターのシンプルなフレーズで幕開け、やがてギターの旋律は幾重にも折り重なるように厚みを増していきます。
そして、全楽器による劇的な多重奏でドラマ性がピークに達すると、スラッシーかつスピーディなリフとリズムの粒が、リスナーの鼓動と血流を急激に加速させます。
正しく重金属的音像。
この曲は、もはや「スラッシュ・メタル」という単一のジャンルによって示される音楽性には収まっていません。
後世のデス・メタルやブラック・メタルに通じる邪悪で粗野な印象を持っていながら、中間パートのブレイグ後はテンポ・ダウンしNWOBHMを思わせるメロディアスなギター間奏を挟み、そこからクレイジーな突撃ギター・ソロに切り込むなど、相当に複雑な構成になっています。
しかもそれらのパーツが単なるツギハギのようにただ並べられるのではなく、音楽的テーマの共通性を維持しながら展開しています。
bpmだけで言えば2000年代以降のデス・メタルが圧倒的に速いわけですが、リフとリズムの整合性が、とてつもないスピード感を生み出しています。
メタル・リスナーがおよそ「メタル」に望んでいる要素は、一通り封入されているといっても過言ではないのではないでしょうか。
今聴いてもヒリヒリするような熱量を内包した、とんでもない爆発力を持った鈍器みたいな手触りは、まったく変わっていないと思います。
最後に
若いリスナー諸氏にとっては、メシュガーやナイルとかの方が速いしテクニカルだしブルータルだしクールなんじゃないか?って感じるのかもしれませんけれど、一度だけでいいからアルバム最初から最後まで聴いてみて欲しいのです。
人生の時間を知らないアルバム一枚分に使ってみたっていいと思いませんか。
僕はこの曲でヘヴィ・メタルが何であるかを知り、死ぬ迄聴き続けると思います。
ではみなさん今後ともどうぞ宜しくお付き合いくださいませ。■■
オマケ
Metal Massacre – Wikipedia / Master of Puppets – Wikipedia / Metallica – Wikipedia / Ron McGovney – Wikipedia / メタリカ情報局
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